自家発電設備の整備と負荷試験

皆さんこんにちわ。

今回は前回紹介させていただいたとある防火対象物において火災通報装置の工事と一緒に自家発電設備の負荷試験も行ってきましたので紹介したいと思います。

一部整備も行いましたので併せて紹介したいと思います。

火災通報装置の交換工事
今回は火災通報装置の本体交換工事をさせていただいたので御紹介いたします。新品の火災通報装置が既設と同じ形であるので工事自体は難しくありませんでしたが、少し大変だった作業もあるので併せてご紹介します。

 

各部確認及び整備

自家発電設備の発電機部分

写真のとおり自家発電設備も長時間運転されずにいたので、燃料や冷却水、エンジンオイルが劣化していましたので交換をしました。

また発電機のホイール部分もサビがあったので研磨しました。

発電機のブラシ部分

写真の右側のホイールのカーボンブラシが当たる部分が黒く酸化していました。

この写真だとわかりずらいので拡大しました。

 

ホイールの酸化

右のホイールは左のホイールより黒くなっているのが良くわかります。

この状態だと発電機が上手に作動しない(カーボンブラシに電気が通らない)のでこの酸化部分を研磨して酸化部分をきれいにします。

 

カーボンブラシ収納部

またホイールの研磨を一緒にカーボンブラシの接触部も軽く研磨して酸化膜をきれいにしておきます。

 

カーボンブラシ

カーボンブラシは運転時にホイールと接触して徐々に削れていき、最終的に交換が必要になる部品ですので、ついでに残りの長さを確認しておきます。

非常用自家発電設備は運転時間がそんなに多くないので交換頻度は少ないですが、重要な部品の一つになります。

ホイールとカーボンブラシを研磨し終わったら各部品を元通りにして運転にはいります。

 

負荷試験

各箇所の確認が終わったので無負荷運転を行い、異常等が無いことを確認したらいよいよ負荷運転を行います。

負荷運転には①実負荷試験 と②模擬負荷試験 がありますが、今回は自家発電設備の容量が大きくなく、また付帯設備(屋内消火栓)の使用電流で30%負荷が賄えるので今回は①の実負荷試験にて行いました。

負荷試験は変電設備(キュービクル)にて発電機のブレーカーを断にして自家発電設備を起動させて、その発電電力にて消火栓を規定時間(今回は30分)流量試験を行い負荷をかけて実施しました。

負荷運転中の各計器

運転中の各計器になります。

燃料計の指針がempty(空)を指していますが、燃料タンク内の燃料レベルを検知するフロートが固着していたのでemptyになっていますが、この運転の後に整備しました。

負荷運転中の各計器

こちらは電流計や電圧計などの計器になります。

発電電圧は200V、周波数は52.5㎐、蓄電池の電圧も十分にあります。

 

発電電流値

消火栓の流量試験における消火栓制御盤の電流値が15Aでしたので、自家発電設備の電流値もだいたい同じになります。

仮に付帯設備の負荷電力が30%に満たなくても、一定の条件があれば30%未満でも実負荷試験を行ってもよいことになっています。

詳しくは下記の「だれでもわかる消防用設備」様のブログ記事に記載がありますので参考にしてください。

自家発電設備の法令一部改正について
この記事では法令一部改正になった非常電源(自家発電設備)について解説しています。改正の内容、内部観察等について、予防的な保全策とは、付加運転等の実施期間や注意事項について詳しく解説しています。

 

あとがき

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回は自家発電設備の負荷試験を行いましたので紹介させていただきました。

私は2020年の9月に自家発電設備専門技術者の講習を受けてきたのですがその時思った事は、講習内容がとても専門的で、テキストもかなり詳しく書かれていたのでとても勉強になりました。

自家発電設備の点検などにおいても「専門的な知識を有する者」としてこの自家発電設備専門技術者を指定していますので、受講しておいて損はないと思っています。

この講習のかいもあって、負荷試験を問題なく終了させることができました。

消防用設備等の中でもあまり関わりたくない設備の上位である自家発電設備ですが、今回の負荷試験を機にいろいろ勉強していきたいと思います。

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